アフリカ縦断         Next
   
 
     
計画概要

時期:2001年2月〜6月(100日間)
走行距離:20,000キロ
メンバー:6名
バイク:HONDAドミネーター(650cc)
サポートカー:ランドローバー、トヨタ・ランドクルーザー


バイクに身を託し、道端に息づく世界と出会いたいと思い始めたのが1983年あたりだったか。あの頃、私は33歳。まだ若くて乱暴で、そして無知だった。
30代から40代にかけて、夢想し、計画を立てて準備し、旅を続けてきた。その度に驚きがあり、発見があり、しばしば自分自身の限界と脆弱さを思い知らされもした。それらの体験のすべてを含めて、道端に広がる世界の現実と、今を生きる人々の暮らしぶりや想いと出会ってきた。そして、旅を重ねるごとに、ますます、私は旅の虜になっていった。
 
1996年、北米大陸一周行。総走行距離33000km。ホンダ・アフリカツインの巨体に身を預けての、熱風とスコールの中を這って進む4カ月間の旅だった。
1998年、オーストラリア大陸一周行。頼もしいパートナー、ホンダ・ドミネーターに助けられ、殆ど無人の原野──アウトバックを15000km駆け抜けるハードな旅だった。
 
そして2001年。5大陸走破行の第3次計画は<アフリカ大陸縦断の旅>である。
本当は1周したいのだが、アフリカの政治状況がそれを許してくれない。サハラ砂漠は横断できず、北東アフリカも中央アフリカも政情不安が続いている。部族間闘争があり、内戦があり、地雷原もいたる所に広がっている。
スペインのマドリッドで最終準備をし、ジブラルタル海峡を渡ってモロッコから西アフリカを南下。コンゴが通過できないため、ガーナのアクラからケニアに飛行機で飛び、東アフリカから南アフリカに南下して、喜望峰まで、20000kmの道程を繋ぐ、約106日間の旅。
 
厳しい時代は続いている。夢を形にするのは、今、正直言ってかなり厳しい。
しかし、だからこそと、と私は思う。
今のような時代だからこそ夢が必要なのではないか。
だから、困難な状況ではあるけれど、数少ない理解者と共に<五大陸走破行>を続けてゆく。

想いはすでにブラック・アフリカの大地に飛んでいる。
そこでは、どんな風景と人に囲まれてるのか──答はアフリカ自身が出してくれるだろう。

2001年  戸井十月