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グンディウィンディ
→ニンガン(600km) |
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午前7時に出発。霜が降りていて、息が白い。こういう朝は、正直言ってバイクに乗りたくない。着込めるだけ着込み、さらに西へ向かう。
クィーンズ州から、ニューサウス・ウェルズ州へ。
途中、白人とアボリジニ系との対立が激しい田舎町をいくつか通過する。
商店の窓には鉄格子がはまり、入口は鉄のシャッター。商売しているのは、もちろん皆白人だ。今のところ、仕事しているアボリジニは一人も見ない。
日没が近くなると態勢を変え、ビットの車が先頭を走る。カンガルーを始めとする野性動物が飛び出してくるからだ。
少し先で、エンコしているオンボロ・フォード。ビットが止まり、エンジンルームを開けて修理してやる。
「エンジンルームの中を見たか?」とビットが訊く。
確かに、よくこれで走るなといったひどさだった。
「あの車で、今日の内にあと300km走るんだと。信じられないね」
呆れ顔で肩を竦めるビットだが、その心根は実に優しい。これなら、確かに女にもてるだろう。