ユーラシア大陸横断行     Back Next
           
       
               
  旅日記
9/10
ナリン→ 中国入国 → カシュガル
晴れ

 

多分、この旅で最も長くなるであろう1日。

午前5時、まだ暗闇の中を出発。
幸いにも雨は深夜の内に止んで、空には星が瞬いている。息は白く、手は悴むほど寒いが、ともかく雨が止んでくれたことが嬉しい。
いつもは軽口叩きながらの出発だが、今日ばかりは皆、口数も少ない。
真っ暗闇の中、HIDランプの白色光を頼りに走る。

町を出た途端、道は上り始めた。勿論ダートロードだが、思っていた以上に路面の状態が良く、スピードが出せるのはいいが、その分寒くてシールドが曇り、手が凍える。

午前6時。1時間走る内、背後から夜が白々と明けてくる。 あまりにシールドが曇るので、一度止まってクリアーレンズのゴーグルに換える。

さらに1時間走って午前7時。大きな二股の分かれ道が現れる。そんな分かれ道は地図にも載っていない。
その頃、薄明の中からうっすらと現れてきた左手の風景に鳥肌が立つ。薄紫色に明けてきた空を突き破るように屹立する白い峰の連なり・・・。ゾッするほど美しく、怖い。我々は、あの、壁のような山々を越えねばならないのだ。
中国側から来るトラックを止めて道を訊く。
ついでに、昨夜つくったパサパサのジャムサンドの朝食。
太陽が昇り、あたりは、まるで絵葉書のような世界。オレンジ色の光の中で、地平線まで続く山並みが金色に輝いている。
あまりに寒く、ジャケットの下にインナーウエアーを着け、バイクのハンドルバーにハンドカバーを着ける。
人、1人いない360度の世界を、馬に乗って悠然と走り抜けていく男が1人。私が手を挙げたら、彼もさりげなく手を挙げて走り去っていった。
こういう時、つくづく人は逞しいと思って勇気づけられる。
向こうからトラックも来ているし、大丈夫、行けると自分に言い聞かせて前に進む。

陽が昇ると、霧が出てきた。その中に突っ込むと世界は白濁して、まるでミルクの中。
気がつくと、ヘルメットのバイザーについた水滴が凍り、車のフェンダーには氷柱がこびり付いている。その時、氷点下5度。
幅の広い土と石ころの道が実に緩やかに、しかし確実に上っていく。

この旅でもっとも厳しいと思われるトルガルト峠越えの朝。
まだまだ街に近い所だが気温はすでに0度を割りそうだ

 

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Yuji Miyazaki

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