ユーラシア大陸横断行     Back Next
           
       
               
  旅日記
9/12
中国・カシュガル
晴れ

 

サポートカー、CRVのサスペンションを替える。

夕方から職人の町を撮影がてら散歩していたら、白いランクルが趙に寄ってきて「兵隊や警官は撮すな」と脅しをかけてくる。私服の公安である。
「今は町中が公安だらけ。何処で見ているか分からないから気をつけて下さい」と、趙。
あと9日で、一ヶ月に及んだ「ラマダンー断食」が終わる。それに、10月1日は建国60周年の記念日。政府としては、この2つの日を何とか騒動なくやり過ごそうと必死のようだ。少なくとも、それまでは全て押さえ込もうという腹らしい。
ちなみに、テレビは60チャンネル近くあるのに、外国の放送は一局もない。
趙曰く、「中国には1つの目、1つの口しかないのです。それ以外は全て嘘かデマと教えられているのです」。

ここで、今回のウイグルと漢人との衝突の経緯について趙に訊いた。
日本でも報道されているかもしれないが、やはり現地の人間でないと分からないニュアンスもあるから彼の分析を紹介する。
彼の話は概ね公正で、事実に近いと私は思う。

まず、石油や天然ガス等の資源目当てに漢人が新疆に押し寄せ、ウイグル人たちの居場所が無くなってきているという大前提がある。もちろん、近年生活が良くなったというウイグル人もいるが、自分たちの土地に押し入ってくるような漢人を心よく思わない連中が沢山いるのも事実。 趙に言わせれば、「共存共生派と分離独立派が半々くらい」とのこと。

そんな背景があっての今回の衝突だが、まず、広東省のオモチャ工場で事件は起こった。この工場では、人件費が安いウイグル人を1000人雇っていた。他にもそういう工場は沢山あり、自分の仕事を奪ったとウイグル人を逆恨みする漢人労働者は元々多かったという背景があった。新疆に漢人が入ってくるのとは逆のシチュエーションである。
そこで事件が起こる。

ある日、漢人の女性が工場の男子寮のような所に迷い込み、そこでウイグル人の男達にレイプされてしまう。それに怒った漢人達が、復讐のためにウイグルの男2人を棍棒で滅多打ちにして惨殺してしまうーーこれが政府の公式見解だが、ウイグル側は、女性をレイプしたなどという事実はなく、もともとウイグル人労働者を逆恨みしていた漢人達に訳もなく殺されたと主張している。
ともかく2人のウイグル人が惨殺されたのは事実だが、この後の展開が、今までも幾たびか起こった衝突とは全く様相が違ってくる。この惨殺現場の様子が、携帯の映像で流されてしまったのだ。しかも趙によれば、その映像自体は今回の事件と全く関係のない、イラクで起きた別の事件の映像とのこと。それを、分離独立派が悪用したという。
ともあれ、棍棒で滅多打ちにされ、動かなくなった人間をさらに石で打ち続けるといった残虐な場面を映像で見てしまったウイグル人達が7月5日の暴動ではおよそ200人の漢人を同じようなやり方で殺し、さらにそれへの復讐で漢人がウイグル人を襲うといった憎悪の連鎖が始まったのだった。

趙は言う、「お互いがお互いの残虐行為を映像で見る何てことは今までに無かったことです。それだけに、今回のことが残した傷は深いと思います。携帯電話やインターネットのいい部分は勿論ありますが、こういうことが起きることもあるのです」。

デジタル情報社会が両刃の刃である見本のような出来事である。

 
 

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Photo&Caption
Yuji Miyazaki

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