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未舗装はともかく、もうほとんど異種格闘技戦とでもいいたくなるほど
様々な車両が好き勝手に走ってます(笑) |
ヤルカンドからホータンまでの330km。
途中、何百台という軍用トラックとすれ違う。
チベットの方から下ってきた部隊で、これから迎える冬に備えて、石炭やコークスを積みに来たらしい。冬のヒマラヤ方面は、そりゃ厳しいだろう。
それだけのことをしてまでチベットを押さえておきたいのは、そこが黄河、揚子江という、中国の二大水資源の水源地帯に当たるからで、新疆の開発を進めるのは天然資源の為である。
「今の政府が、この二つの地域の独立を認めることは絶対にないでしょう」と趙は言う。
ただ茫漠と広がるゴビの原野を断ち割って、地平線まで一直線に延びていく道。風が出てきて、世界はミルクコーヒーのように濁っていく。
今日のホテルも国営。食堂の個室で飲み食いするのは共産党の幹部ばかり。「彼らはメニューの値段も見ないよ。ただおいしいものを手当たり次第に頼むだけ。余っても、国のお金だからへっちゃらなんです」と趙は肩を竦めた。