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コマンダンテ・ルイス・ピエドラブエナ→コモドロ・リバダビア(520km) |
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パタゴニアの寒さと暗さから逃れたい一心で大西洋岸を北上。厳しい原野の冬に追い立てられているような気分だ。これだけ旅をしてきたのに、まだ弱々しい自分が情けない。
ペルーやチリを南下する時にずっと右手に広がっていた太平洋は荒れていた。それに較べ、北上を始めて右手に広がった大西洋は穏やか。何万というカモメやシギが水際に群れている。しかし、寒々しい。

東へ進み、大西洋へ・・・
午後になって西風が強くなる。人をも飛ばしてしまう横殴りの風はパタゴニアの名物。枯れた骨のような木々も、みんな斜めに傾いて生えている。
暗くなって、コモドロ・リバダビアの町に入る。久し振りの町らしい町だ。
地元クラブ・チームの試合が終わったところらしく、サポーターの悪ガキたちが騒いでいる。中には、帰りの足を確保するために、ピックアップを止めて無理矢理その荷台に乗り込もうとする連中もいる。そして、それを振り落とそうとする大人たちの車・・・。どちらも暴力的だ。浦和レッズのサポーターなんて可愛いものである。
吠えるような風が一晩中吹き荒れる。
私たちはまだパタゴニアの呪縛から抜け出せないでいる。気持ちが、どんどん暗くなってゆく。せっかくの南米一周の旅なのに、どうしたことだ。