午後7時。チャーターした運転手つきのバンでホテルを出発する。お大尽遊びみたいだが、帰りの混雑と混乱(特にアルゼンチンが負けた場合)を考えると、帰りの足を確保しておいた方が無難だと六本木は言う。
スタジアムのかなり手前で車から降り、歩く。沿道はスタジアムに向かう人々ともの売りで一杯だ。アルゼンチンの国旗、アルゼンチンカラーの帽子、マフラー、ハチ巻き、ネックウォーマー、風船・・・。ありとあらゆるものが、白とライトブルーの2トーンカラー。ここで黄色と緑のブラジルカラーを身につける勇気はさすがにない。私も宮崎も具志堅も薄井も、実は皆ブラジルファンなのだが、そういう顔ができないところが辛い。
キックオフ1時間前で、すでに場内は満員。あちこちで太鼓と笛が鳴り、応援歌が地鳴りのように響く。
で、この日のアルゼンチンは圧倒的に強かった。守りは固いし、攻めはシャープ。にしても、前半で3点取れるとは自分たちでも思っていなかっただろう。
片やブラジルはコンビネーションがうまく機能せず、個人技に頼るばかりでやっていることがチグハグ。ま、ムラっ気の多いところもブラジルの魅力なのだが・・・。しかし、敗けたとはいえ、ロナウジーニョの5人抜きも、ロベカルの弾丸フリーキックも目の前で見られたし、大満足。同じく、勝って上機嫌の群衆と共に帰路についたのだった。

『Vamos Vamos Argentina!』の大声援に後押しされ、3対1でアルゼンチンが勝利 W杯本大会出場を決めた
日本が半日前にドイツ行きを決め、今、アルゼンチンがドイツ行きを決めた。興奮と充足の1日。これも、旅すればこそめぐり会えた特別な1日だ。