朝の電話で船を予約。ベレンから対岸のマカパまで33時間から36時間かかるという。アマゾンの河口付近は、まるで海だ。アマゾンは、水と緑の宇宙だ。
午後3時にホテルを出て船の出る場所へ。私たちが乗るのは車輌を専門に運ぶ平底船。50mプールほどの広さの鉄板船の上にトラックやコンテナをびっしりと積み込み、それを小さなタグボートが押して進んでゆく。長大な水の道、アマゾンには欠かせないトランスポーターである。
私たちが乗る「JOZIMA号」は3000tまで運べる鉄板平底船。共同のトイレとシャワーはあるが船室はない。

午後6時、積み込み開始

平底の船に積み込まれたバイクとMDX
午後8時半出港。海のように広く、湖のように静かなアマゾンの上を船は北に向かって滑ってゆく。
2時間ほど眠って起きると、東の水平線からまっ赤な月が昇ってきた。頭上には満天の星。サソリ座と南十字星がひときわ明るく輝いている。
小便をしようと船べりに立つが、手すりも何もない平底船だから恐い。
1メートルほど下はまっ暗なアマゾン河。落ちたら終わりだ。誰も気付かないまま、私はアマゾンの藻屑と消えるだろう。