朝、宿のロビーのテレビでロンドンでの同時多発テロを知る。旅することに追われてしばらく忘れていたが、世界は何も変わっちゃいないことを思い出す。
何やかやの雑用を片づけている内に時間が経ち、カイエンヌを後にしたのが午後3時。
スコールの黒雲に追われるように1時間走り、海辺の町、クールーへ。 この沖合いに、フランスで犯罪を犯した人間を収監する監獄島があり、今は、ある種の遺跡のようになっている。ここを取材、撮影するつもりで来たのだが、何故か数年前から入島できなくなっていることを知る。

映画『パピヨン』の舞台となった監獄島
仕方なく、海辺のホテルに部屋をとる。大きなホテルなのに働いている人間が少ない。フロントにおばさんが一人いて、ベルボーイもいない。大きなレストランで働くウェイトレスも一人だけ。しかも彼女、仕事が終わると4、500万はするアメ車のピックアップで帰っていった。
「彼女、どうやってあの車を手に入れたんだ?」と首を傾げるホセ。
ホント、不思議な所だ。一つの仕事にも沢山の人間が群がるのが第三世界の常識だが、ここではなるべく人が働かないようにしているかに見える。