旅も最後だから、前半を宮崎、後半を具志堅がバイクで走る。こんな所をバイクで走ることは滅多にできない。この快感を少しは分けないと後から恨まれる。
午後5時。ナスカの町の手前でメインルートから外れ、砂漠の中の農家の庭先でキャンプを張る。
この旅最後の夜は、ペンネのミートソースと韓国ラーメン。腹一杯になり、ペルーのワイン「TAKAMA」とピスコで酔って10時に眠る。

最後のキャンプ
で、午前4時に起きるとあたりは霧の中。折り畳みのイスに座り、ウィスキーをチビチビ飲りながら旅の日々を思い出す。
風と雷と氷に行く手を阻まれたパタゴニア。アルゼンチンとブラジル内陸部の、道端の人々の誇りに満ちたホスピタリティに助けられた日々。なにも分からず、ただガムシャラに進んだ仏領ギアナ、スリナム、ガイアナ。ハンモック船「ボヤージャー号」での、ささやかで貧しいけれど豊かだった川の旅。そして、ボリビア、アンデスの厳しさと美しさ・・・。
色々あった4ヵ月、旅の途中でメンバーを交替させるというのも初めての経験だった。しかし何はともあれ、全員が無事で、今ここにいられることに感謝しよう。体さえ元気ならば、何が起きても何とかなるものだ。私たちには、それだけの経験がある。自信を持って、この先も旅を続けようと自分に言い聞かせる。
あと2ヵ月で57才だが、世界と出会うための旅は、まだこれからである。